Home > IPv6実践導入ガイド > 01 IPv6とはどんな規格か
インターネットの屋台骨を支えていたIPv4は、そもそもアメリカ国防省が「核攻撃にも耐えられる通信網」を実現させるために開発された軍事利用が目的のネットワークだ。
この命を受けて、米国大学を含む各研究所で研究開発が開始され、IPv4が作られていった。
IPv4の原型が産声を上げた時には、数か所の研究機関間でのテスト通信がされ、次第に大学を含めた研究機関次々とIPv4ネットワークに接続され、様々な改良が加えられ、今日のIPv4の姿に進化したのである。
軍事目的で開発された技術が民間転用されることは珍しい事ではなく、IPv4も民間転用され、今日のインターネットへと発展を遂げた。
今では誰でもがあたり前のように使っているインターネットだ。PCやスマートフォン、携帯電話でのメールは誰でも使っているし、Webページの閲覧や、ネットショッピング、動画鑑賞などのIPv4上で実現されている、インターネット
サービスはIPv4の存在を全く意識することなく利用できようになっている。
個人利用だけではなく、企業間の連絡手段としてメールやB2B等の電子取引など、今やインターネットは我々の生活に欠かす事が出来ない重要なインフラにまで成長している。
これは「RFC」と呼ばれるオープンな仕様で、IPv4を含めインターネット上で使用されている基礎技術仕様が全て公開されており、メーカーやベンダーを問わずにIPv4をベースとした通信の相互接続性が容易に実現できているからだ。
ところが、IPv4は当初軍事利用が目的だったので、軍事設備内での閉じたネットワークが前提で設計されており、今日のインターネットのような規模で使用される前提では開発されていなかったため、IPv4アドレス数の絶対数が足りない問題をIPv4の民間転用当初からはらんでいた。
本来のIP通信の思想は、Point to
Pointを透過的に通信できるようにする事を本質としているので、インターネットが民間に解放された当初は、LAN内であってもグローバIPv4ルアドレスを割り当てる運用をしていた。
ところが、グローバIPv4アドレスの絶対数が足りなくなることは当初からわかっていた事なので、グローバルIPv4アドレスの最少割当て単位であるClass
Cを、Class
C未満で割当てするCIDRや、グローバルIPv4アドレスをローカルIPv4アドレスに変換するNAT/NAPTの技術が開発され、グローバIPv4アドレスの消費を抑え、グローバIPv4アドレスの延命を図ってきた。
今日のIPv4の利用は、LAN内はローカルIPv4アドレスを使用し、インターネットでの通信はグローバルIPv4アドレスに変換する、NATが当然のように使われているが、IP本来の思想から見ると「必要悪」とも言える仕様なのだ。
そして、X Dayとも言える、グローバルIPv4アドレスの在庫がなくなる「グローバIPv4アドレス枯渇」を迎えたのである。
利用中のグローバルIPv4アドレスを更に使いまわすために、LSN(Large Scale NAT)等の延命措置が取られているが、これも延命措置でしかなく、いずれは限界を迎えることになる運命にあるのがIPv4の今日の姿なのである。
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