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01-11 ススコープと言う考え方


スコープという概念

IPネットワークの範囲を表現したのが「スコープ」だ。

IPv6でのスコープは、インターネット全体を表わす「グローバル」、組織などの内部を表わす「サイト」、ルーター等のL3中継装置で区切られたセグメント単位を「リンク」、ノードそのものである「ノード」の4つに分類される。

[ スコープの範囲 ]

 

IPv4でも「スコープ」という概念が存在している。
IPv4でのスコープと言えば、インターネット全体を指している「グローバル」、サイト内部を指している「ローカル」、ノードそのものである「ノード」の3つに分類される。

 

グローバルで使用できるIPv6アドレス

グローバルで使用できるIPv6アドレスは、以下の2種類だけだ。

・GUA
・グローバル スコープ マルチキャスト

 

サイトで使用できるIPv6アドレス

サイトで使用できるIPv6アドレスは、グローバルに加えて以下の2種類が追加される。

・ULA
・サイト スコープ マルチキャスト

 

リンクで使用できるIPv6アドレス

リンクスで使用できるIPv6アドレスは、グローバル、サイトに加えて以下の2種類が追加される。

・リンク ローカル アドレス(LLAと省略されることもある)
・リンク スコープ マルチキャスト

 

ノードで使用できるIPv6アドレス

ノードで使用できるIPv6アドレスは、グローバル、サイト、リンクに加えて以下の2種類が追加される。

・ループバック アドレス
・ノード スコープ マルチキャスト

 

GUA(Global Unicast Address)

GUAは、インターネット(グローバル)上で使用されるユニキャスト(後述)アドレスだ。インターネット上で使用できるユニークな存在で、インターネット上での通信が許されているIPアドレスで、「2000::/3」が割り当てられている。

 

ULA(Unique Local Address)

ULAは、サイト内部で使用されるユニキャストアドレスだ。インターネット上では使用することができないが、サイト内部でユニークな存在で、サイト内部通信に使用する事が出来る。ULAには「fc00::/7」が割り当てられている。
プレフィックスとして1ビットが予約されているので、実際にローカルアドレスとして使用できるのは「fd00::/8」となる。

 

リンクローカルアドレス

リンクローカルアドレスは、L3中継装置で仕切られたリンク内部でのみ使用されるユニキャストアドレスだ。リンクを超えた通信はできないが、リンク内部でユニークな存在で、リンク内での通信が許されているIPアドレスだ。リンクローカルアドレスには「fe80::/10」が割り当てられているが、実際に使用さるリンクローカルアドレスは「fe80::/64」を使用する事になる。
リンク内ユニークなアドレス内なので、サイト内部で重複は許される。
リンクローカルアドレスは主に通信制御に使われるので、ルーターの複数ポートに「fe80::1」を割当てて、デフォルトゲートウェイは「fe80::1」決め打ちといった使い方も可能だ。

 

ループバックアドレス

ループバックアドレスは、ノード内部でのみ使用されるユニキャストアドレスだ。ノードの外に出る事はなく::1が割り当てられている。

 

グローバル スコープ マルチキャスト

グローバル スコープ マルチキャストは、インターネット上で使用されるマルチキャスト(後述)アドレスだ。インターネット上での通信が許されているIPアドレスで、「ff0e::」が割り当てられている。

 

サイト スコープ マルチキャスト

サイト スコープ マルチキャストは、サイト内部で使用されるマルチキャストアドレスだ。インターネット上での通信は許されておらず、サイト内部でしか使用する事はできない。
サイト スコープ マルチキャストは、「ff05::」が割り当てられている。

 

リンク スコープ マルチキャスト

リンク スコープ マルチキャストは、リンク内部で使用されるマルチキャストアドレスだ。リンクを超えた通信は許されておらず、リンク内部でしか使用できず「ff02::」が割り当てられている。
リンク スコープ マルチキャストも主にRA(*1)やND(*2)等の通信制御に使われている。

 

ノード スコープ マルチキャスト

ノード スコープ マルチキャストは、ノード内部で使用されるマルチキャストアドレスで、「ff01::」が割り当てられている。

 

IPv4との比較

IPv4にもスコープの概念があるが、スコープ用のIPアドレスとして存在しているのは「グローバル」「ローカル」「ループバック」の3種類だけだ。
インターネット(グローバル)で使用できる「グローバルIPv4アドレス」とサイト内部でのみ使用できる「ローカルIPv4アドレス」の2種類とループバックを使い分けている。
IPv4にも「セグメント」の概念は存在しており、セグメント(リンク)用のIPv4アドレスに「168.254.0.0/16」が定義されているが、実通信用としてはほとんど使用されていない。

[ IPv6とIPv4のスコープ ]

  IPv6 IPv4
スコープ 使用できるIPアドレス スコープ 使用できるIPアドレス
インターネット全体 グローバル GUA(2000::/3)
グローバル スコープ マルチキャスト(ff0e::)
グローバル グローバル(ローカル以外のClassA~ClassC)
インターネット コントロール ブロック マルチキャスト(224.0.1.0/24)
サイト内部 サイト GUA
グローバル スコープ マルチキャスト
ULA(fc00::/7)
サイト スコープ マルチキャスト(ff05::)
ローカル グローバル
インターネット コントロール ブロック マルチキャスト
ローカル(10.0.0.0/8、172.16.0.0/12、192.168.0.0/16)
ローカル コントロール ブロック マルチキャスト(224.0.0.0/24)
セグメント内部 リンク GUA
グローバル スコープ マルチキャスト
ULA
サイト スコープ マルチキャスト
リンク ローカル(fe80::/10)
リンク スコープ マルチキャスト(ff02::)
ローカル/
(リンク ローカル)
グローバル
インターネット コントロール ブロック マルチキャスト
ローカル
ローカル コントロール ブロック マルチキャスト
リンク ローカル(168.254.0.0/16)
ノード内部 ノード GUA
グローバル スコープ マルチキャスト
ULA
サイト スコープ マルチキャスト
リンク ローカル
リンク スコープ マルチキャスト
ループバック(::1)
ノード スコープ マルチキャスト(ff01::)
ノード グローバル
インターネット コントロール ブロック マルチキャスト
ローカル
ローカル コントロール ブロック マルチキャスト
リンクローカル
ループバック(127.0.0.1)

 

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(*1)
RA(Router Advertisement)
プレフィックスなどIPv6アドレスの自動構成に必要な情報

(*2)
ND(Neighbor Discovery)
近隣探索

 

>> 01-12 IPv6のアドレスの種類

 

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