裏のおばあちゃん

これは、とある先生から聞いたお話し。

 

家の離れの1階に自分の城を築いてもうなん年もたった頃。

裏の家の庭が離れから続いていて、

よく裏のおばあちゃんが自分の城の窓の外をてくてく歩いては買い物に行ったり、

散歩に出掛けるのは知っていた。

滅多に顔を合わせることなんか無かったけれど、

夏の暑い日なんか窓を開けていると。。

「今日も暑いねぇ。」と言っては通り過ぎて行く。

さむーーい冬のこと。。。

こたつに入ってミカンなんぞ食べながらテレビをぼーっと見ていたとき

裏のおばあちゃんが窓の外から

ぺこっと軽く頭をさげて挨拶して通り過ぎて行った。

「こんなに遅い時間にどこ行ってたんだろ?」

ぐらいにしかその時は思わなかったんだけど。。

再びテレビに目をもどしたときに。。あれっ??って。

自分とこの窓は昔からの木枠の窓で、

横長のガラスが5枚はめこまれてるタイプ。

しかも、4枚がすりガラスで、一番上だけが透明なやつ。

裏のおばあちゃんの顔が確認できたのは。。その一番上の透明なガラス。

でも。。。とてもおばあちゃんの身長では。。。届くはずがない。

体が硬直して。。。身動きできない。。

冷や汗が吹き出してくる。。。

外が騒がしくなって。。。ばたばたと足音が聞こえた。

母親がドアを開けて一言、

「裏のおばあちゃん、亡くなったって!」

 

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