正夢 (下)

 

それから2年後、道路の整備で我が家は立ち退きを迫られた。

商売をしているので、近くに土地を見つけてもらうことを条件に要求に応じた。

その時見せてもらった新しい道路の青写真を見て、愕然となった。

「ねえ、ここにあった川はどうなっちゃったの?」

「ああ、道路を広げるために、道路の下を通すようにしたんだ。」

どぶ川のような小さな川。誰もなんにも気にしてない。

私の胸だけが落ちつかない。

そして、2年後、とうとう川は無くなり、我が家はその大きな道路に面した土地に家を立てて引っ越した。

新しくできた広い道路と昔からの県道が交差する交差点は、結構見通しがいい。

にもかかわらず、事故が相次いだ。

夜の間電滅信号になるから、危ない。と、言うので常時信号を付けることになった。

事故は減らない。

昼でさえ、接触事故が起きたりする。

何回夜中に救急車を呼んだだろう。

119番通報に慣れてしまった。

引っ越しから3年後、私は結婚してその土地を離れた。

事故は多いけど、夢に見たような悲惨なものは起こってない。

やっぱり夢で終わったんだ・・・よかった。

・・・・・

結婚して何年かたったある日、電話で母と話している時、

「この間、すごい事故があったんよ。」

場所こそは違ったけれど、状況はあの夢そのものの事故だった。

ガソリンスタンドの壁に激突、車は大破、家族4人と思われてたがお人形のようなあかんぼが見つかった。

全員即死。

電話口で足が震えた。

おわり