あぶない・・・

 

結婚して間もないころの話。

料理はそんなに得意では無かったけれど、ヘタッピでもないと思っていた。

あの日、なにを作ろうとしていたかは覚えていない。

でも、キュウリを切っていたことだけは確か。

右手に包丁を握って、左手をキュウリに添えて・・・

「あぶない・・・」

男の人のちょっと太めの声がすぐ耳元でした。

「えっ?」

夫がいたずらで耳元でささやいたのかと思って振り返った。

リビングでビール片手にテレビを見ている夫が目に入った。

あれぇ?

「ねぇ、今テレビであぶないって言った?」

「いいや。なんで?」

・・・・・・・

なになに?

さっきの「あぶない・・・」って誰の声?

空耳?

あんな耳元でささやくような空耳ってある?

はっきり聞こえたよ。「あぶない・・・」って。

夫に訴えた。すると一言。

「キュウリ切るのにあやしい手つきしてたんじゃないの?

守護霊が見かねてつい声に出ちゃったんだよ、きっと。」

「・・・・・・(;_;)」