携帯電話

これもとある先生から聞いたお話し。。

 

「ちょっと留守番に来てくれない?」と、姉から電話があって、

ちょうど時間も空いてたし、快く引き受けて

読みかけの小説があったのでそれをかばんに入れて車で15分ほどの姉の家に。

義理の兄が他界して1年ほどたったある日。

「旦那の携帯電話、ずっと使ってなかったんだけど。。。契約はそのままで、

毎月基本料金引き落とされてるのよね。。。

もったいないからわたしが使うことにするわ。」

そう姉が言っていた携帯電話が、充電器にさされていた。

うららかな春の日に。。。

シーンと静まり返っている姉の家のリビング。

と、突然携帯電話がなった。

本から顔を上げつつも、出るべきかどうか悩んで。。。

じっと携帯電話を見つめていると、呼びだし音がフッと止まった。

はぁぁっと溜め息をつき、また活字に目をもどす。

宅配便も届かず、家の電話もかかってこないままに、姉が戻ってきた。

「お姉さん、携帯の電話がなったんだけど。。出なかったのよ。」

「変ねえ。携帯の番号知ってる人はほとんど旦那の知りあいだから

掛けても出ないの知ってるはずなのに。。。??」

間違い電話だったのだろうということで、その場はおさまった。

姉の息子が帰ってきて、

「履歴を見ればわかるじゃん。」

と、言ったものの、

「暗証番号がわかんないや!よし、おやじの暗証番号を解読してやろう!」

数日もしないうちに姉から電話がかかってきた。

「ほんと、あの子には驚かされることばかり。

暗証番号ね。。。その日のうちに解いたのよ。それも。。。

どうしてそんな番号がわかるわけ?って言うような、変な番号!

ここんとこやることや、考え方までお父さんに似てきて気味悪いくらいなのに。。。」

「で、誰からかわかったの??」

「それなんだけど。。。うちの電話番号だったのよ。」

「えっ??」

あの日、確かにわたししかあの家にはいなかった。。。

それに電話も掛けなければ掛かっても来なかった。。。

なんでその電話から義兄の携帯に?

「電話でればよかったなぁぁ。。そしたら本当に間違いってわかったのに。。」

姉が言う。

「うちの旦那、留守番してるあなたと話しがしたかったんじゃない?

まだ家にいるみたいなのよね。。ときどき旦那の洋服だんす揺れてるし。。。」

えぇぇッ??

 

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