フリーランスを始めると、青色申告のための経理業務も自分でやらなくてはならないですが、日々の仕訳をどうするのかってのが意外と悩みの種です。
僕は商業簿記の実務経験があるので、経理そのものは問題ないのですが、商業簿記と違って青色申告用の科目があってこいつをどうするのかってのが悩ましいです。
商業簿記と何が違って(ここはおまけ)、どう仕分けるのがいいのかってのを考えてみました。
経理って、事実に反してなければ意外と自由度が高いので、省力化の工夫もできたりします。
商業簿記との一番の違いは、個人事業主用の科目が存在する点です。
その科目というのは「開業費」「元入金」「事業主貸」「事業主借」の4つです。
それぞれについて簡単に説明すると...
開業準備期間中に発生した経費を計上する科目です。好きなタイミングで償却して良いので、利益が出た時に利益処分として償却すると良いでしょう。
開業費に関しては、ネットでも詳しく解説しているページが沢山あるので、そちらを見てください。
青色申告の場合、事業と事業主は別財布の考え方なので、事業と事業主個人とのお金の授受はこの科目で計上します。
「事業主貸」と「事業主借」は相殺科目なので、事実上は同じ意味合いになります。
商業簿記経験者的に言うと、「事業主勘定」みたいな科目1つだけにして、逆仕訳すればいいじゃんと思うのですが、ここは青色申告のルールだと飲み込むしかないです、
字面からすると、借りたんだから返さないと... と感じますが、青色申告時用の決算時に「元入金」に振替て、年度繰り越しをしない科目なので返済の事は気にしなくて良いのです(笑)
開業準備時に入れた運転資金がこの科目に該当するのですが、「事業主貸」と「事業主借」の振替科目でもあるので、資本金と違って変動するのが特徴です。
もう一つ商業簿記と違うのは、計上タイミングです。
商業簿記は「現金主義」とか「発生主義」とか計上タイミングを選択する事が出来ますが、青色申告の場合は「発生主義」一択です。
悩ましいのが日々の取引の計上方法です。
大きく分けて、3つのパターンがあったので、それぞれのパターンを解説します。
・事業用の銀行口座、クレジットカート、プリペイドカードを作る場合
スタンダードな仕分けパターン
・銀行口座、クレジットカード、プリペイドカードを事業用とみなすパターン
事業専用の口座/クレカを作らいないスタンダード(?)
・銀行口座だけ事業用とみなして、クレジットカード/プリペイドカードは私物とするパターン
事業専用の口座/クレカを作らず、私的支払いの仕分けを省略する変則(?)パターン
事業専用の銀行口座とクレジットカート、プリペイドカードを準備して、物理的に事業主の所得と分離するフリーランス向けの解説が一番多い(これ以外のパターンを見た事がない)多数派(?)仕訳パターンです。
専用口座と専用クレジットカードは、事業取引だけになるのでクラウド会計サービスの自動仕訳につなげて経理業務を省力化する事が出来ます。
・事業主の生活費を引き出した
事業主貸/銀行口座
・請求書を発行した
未収入金/売上
・売り上げの入金があった
銀行口座/未収入金
銀行口座/売上 (請求書を発行しなかった売上入金)
・現金を銀行からおろした
現金/銀行口座
・現金で経費を支払った
経費/現金
・クレジットカードで経費を払った
経費/未払金
・Suica 等のプリペイドカードのオートチャージがあった
預け金/未払金
・Suica 等のプリペイドカードに現金チャージした
預け金/現金
・Suica 等のプリペイドカードで経費を支払った
経費/預け金
・Suica 等のプリペイドカードで私的支払いをした
事業主貸/預け金
・クレジットカードの引き落としがあった
未払金/銀行口座
・口座引き落としがあった
経費/銀行口座
・案分の口座引き落としがあった
経費(案分)/銀行口座
事業主貸/
・口座振込をした
経費/銀行口座
支払手数料(振込手数料)/
・私的支払いを事業用クレジットカードで支払った
事業主貸/未払金
・事業主から運転資金提供を受けた
銀行口座/事業主借
・個人のクレジットカードで私的支払いをした
ノーカウント
事業主とのお金授受を「事業主借」「事業主貸」で計上しているのが商業簿記と異なるだけでシンプルですし、現金/銀行口座の残高と経理上の残高は完全一致しますので管理もやりやすいです。
事業用の口座とクレジットカードを準備すれば、会計処理的にはシンプルになるのですが、従来から払っている住宅ローンとかその他の引き落とし残高を確保するために事業用の口座から事業主個人の口座へ毎月の振替が必要です。
これを忘れると残高不足で引き落としができないとか...
更に、クレジットカードのポイントが個人用と事業用で別れてしまいますし、クレジットカード審査とか、個人名義のカードの重複発行が出来ず法人名義のカードにしないといけないとか、年会費が意外と高いとか...
意外と面倒な点があります。
僕は、事業用の銀行口座とクレジットカードを作る気が無かったので、どうやってこの問題をクリアするのか2つのパターンを考えてみました。
今まで使っていた銀行口座とクレジットカード、プリペイドカードを事業でも使う場合であっても、会計的には事業と事業主個人のお金は別物として扱わなくてはなりません。
そのために、銀行口座、クレジットカード、プリペイドカードは事業用として扱い、私的支払いは「事業主借」として計上するシナリオです。
こうすると、会計上だけ事業と事業主を論理分離すれば済みます。
物理分離との違いはこんな感じになります。
・クレジットカードで私的支払いをした
事業主貸/未払金
・クレジットカードで経費支払いをした(物理分離と一緒)
経費/未払金
・銀行でクレジットカード引きとおしがあった(物理分離と一緒)
未払金/銀行口座
・プリペイドカードのオートチャージがあった(物理分離と一緒)
預け金/未払金
・プリペイドカードに事業現金でチャージした(物理分離と一緒)
預け金/現金
・プリペイドカードにポケットマネーチャージした
預け金/事業主借
・プリペイドカードで経費を支払った(物理分離と一緒)
経費/預け金
・プリペイドカードで私的支払いをした(物理分離と一緒)
事業主貸/預け金
・銀行で私的引き落としがあった
事業主貸/銀行口座
・銀行で経費引き落としがあった(物理分離と一緒)
経費/銀行口座
・銀行で案分引き落としがあった(物理分離と一緒)
経費(案分)/銀行口座
事業主貸/
ミソは私的クレジットカード支払いも未払金、私的プリペイドカード支払いも預け金として計上するところです。
クレジットカードをあまり使わない場合は前述の方法でも良いのですが、僕の場合はコンビでの支払いとかの少額支払いにもクレジットカードを使って、現金は極力使わない生活をしているので、クレジットカードやプリペイドカードを使う都度仕訳が発生し、膨大な量の仕訳が日々発生することになります。
更に、未払金と預け金の計上を忘れていると未払金と預け金の残高が消えなくなってしまうって弊害もあります。
何とかならんかと考えたら良い方法がありました!!
それが、クレジットカード/プリペイドカードは私物とするパターンです。
こうすると、私的支払いはノーカウントになるので会計業務をかなりシンプルにする事が出来ます。
・クレジットカードで私的支払いをした
ノーカウント
・クレジットカードで経費支払いをした
経費/事業主借
・クレジットカード引き落としがあった
事業主貸/銀行口座
・プリペイドカードのオートチャージがあった
ノーカウント(チャージがクレジットカード明細に含まれる)
・プリペイドカードに事業現金でチャージした
事業主貸/現金
・プリペイドカードにポケットマネーチャージした
ノーカウント
・プリペイドカードで私的支払いをした
ノーカウント
・プリペイドカードで経費支払いをした
経費/事業主借
・キャッシュレスアプリに銀行口座からチャージした
事業主貸/銀行口座
・キャッシュレスアプリにクレジットカードからチャージした
ノーカウント
・確定申告で納税した
事業主貸/銀行口座
ミソはクレジットカードは全額事業主貸にして、経費は事業主借で支払う点です。
私的支払いが全てノーカウントになるので、劇的に楽になりました。
こうすれば、クレジットカードの未払金扱いが外れますし、プリペイドカードの預け金扱いも外れるので、残高管理も不要になりますし計上忘れは事業主貸になるので消込が出来ないって弊害もなくなります。
これで、少額決済をクレジットカードとかプリペイドカードでバンバンやっても経理事務負担が全く無いいって素敵な仕訳パターンが出来ました。
これで困ったことが起きたら、フォロー記事書きます。
Copyright © MURA All rights reserved.